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『成功を決める「順序」の経営』~勝つためには、戦略の順番を間違えるな~。

  • Posted by: doctor-m
  • 2014年8月11日 02:24
  • 読書

急に会長から「面談をしたいので時間を取ってください」なんて依頼が来たもんだから、びっくりして本書を再読。この週末は原田氏の著作を3冊も読んでビジネスに対する意識のすり合わせを行ったつもり。

Prologue

2004年のマクドナルド社長就任時に「わたしが運手するこのバスに乗るか、乗らないか」ということで過激なリーダーシップをいきなり発揮。目標売上は全店で6,000億円。6,000億円には届かなかったものの、5か年で全店売上高+1,316億円、経常利益+163億円(いずれも2008年実績)を達成。しかも、店舗数は3,773店舗(2003年)から3,754店舗(2008年)ということなので、1店舗当たりの売り上げは着実に上がっている。

その売上高はよく「客数」×「客単価」で表現される。この両方を上げることが理想であるが、その両方を上げることは矛盾である。しかし、その矛盾に立ち向かうのが経営であると原田氏はいう。まず取り組んだのは以下の3つ。

  1. 全国を3つの地区に分けていた「地区本部」を解体し、組織をフラット化。
  2. 「日本のことは、日本で決める」とし、各人に対して、アメリカ本国のカウンターパートをあてがった。
  3. 給与制度を成果主義に変更した。

「できない理由を求めて仮想外敵を作り上げるような社内風土では、ブランド価値の向上は実現できない」というのは、原田氏の変わらぬ信念である。

1時間目:「らしさ」の競争力 数字の羅列には「意味」がある

まず最初に具体的に取り組んだのは「QSC(Quality:品質、Service:サービス、Cleanliness:清潔さ)向上の徹底」。

売上と離職率は逆相関にある。離職率が高いと採用コストなどにも影響するため、離職率の低下に取り組む。そのためには「ES(従業員満足度)」を高め、離職率の低下を実現した。離職率が低下すると、モチベーションが高くノウハウを持った従業員が残るため、必然的にQSCも向上する。果ては売り上げが上がるというロジックだ。

この時の根幹にあるのは「マクドナルドらしさ」であった。マクドナルドの不振の原因を「健康志向」や「消費者が飽きたから」などと外部に求めるのではなく、「マクドナルドらしさを失ったからである」と、自身に理由を求めた。

そこで、「back to the basic with innovative manner(革新的原点回帰)」というスローガンの下、改革に取り組んだ。

経営資源を賢く再配置、再配分するのが本来のリストラであるとし、「メイド・フォー・ユー」という注文されてからハンバーガーを作る仕組みを一斉に導入した。「お金を使えば、新しく何ができるか」を考えるのが肝要だという。

2時間目:戦略シーケンス 勝つための「順序」を考えよ

QSC向上の徹底という土台ができてから、さまざまな打ち手を売っていく。QSC向上という土台がない限り、いいろいろやってもその場しのぎの戦術になってしまう。そこで、原田氏は以下の手順で改革を行った。

QSC向上→100円メニュー→新メニュー「えびフィレオ」投入→価格改定(値上げ)→新メニュー「メガマック」投入→24時間営業の本格展開→地域別価格制の導入

この順番であったからこそ、矛盾といわれる「客数を増やす」「客単価を上げる」「コストを下げる」という3要素を実現できた。いかに戦略が順序、ストーリーが大事であるかがわかる事例である。

さらには、この戦略で体力ができたところで「戦略的店舗閉鎖」とし、120億円の特損を計上して433店舗を閉鎖した。ただし、これは赤字店舗をただ閉鎖したのではなく、「メイド・フォー・ユー」が導入できない小型店舗、QSCがどうしても上がらない店舗など、基本戦略にそぐわない店舗が閉鎖対象となった。

3時間目:マーケティングの要諦 顧客は驚きたがっている

「リサーチデータで経営戦略を立てるな」という。そもそも、リサーチで消費者に質問をしても、新しい商品を教えてくれるわけでもなければ、日本人の場合は礼を重んじる傾向にあるため、あまり嫌なことは言わないからだ。

イノベーションは自己否定から始まる。「Big America」シリーズはプロモーションコストがかかるが、これはそののちの「キャッシュ・カウ」を作るために投入した。結果、利益率の高いビッグマックやクオーターパウンダーが続いて売れるようになった。

どうやって消費者を驚かせてわくわくさせるかという「サイコロジー(心理学)」と、理詰めで考えて、その「驚き」を含めた顧客満足をマージンに変えていく「サイエンス(科学)」。経営には両方必要だと思います。(P.95)

4時間目:組織とリーダー 情熱には冷静を、冷静には情熱を

組織は常に変化していないとダメになる。3年同じ仕事をしていると陳腐化するので、原田氏の経営チームは常に人を動かしている。たしかに正しい判断ではあるが、長期的なプロジェクトの場合にはどのように行っているのかが気になるところであるが、本書にその記述はなかった。

リスクマネジメントの要諦は潜在している問題を顕在化させること。そのためにはリーダーシップが不可欠です。(P.111)

解説:マック再生は「戦略ストーリー」の傑作(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 楠木建)

どんな戦略であっても「ストーリー」になっていなければならない。優れたストーリーは、さまざまな戦略の構成要素を一貫した因果論理でつなげる。

  1. 「強さ」:因果関係の蓋然性の高さ
  2. 「太さ」:構成要素の間をつなぐ因果関係の数の多さ
  3. 「長さ」:ストーリーの拡張性

「戦略」とは、そもそも競合他社との違いを作ることである。それは「ビジネスモデル」の取引見取図ではつくれない。ポイントとなるのは、順列と組み合わせの違い。

  • 組み合わせ:AB=BA
  • 順列:AB≠BA

順列になると時間軸が入っているために、要素が入れ替わると意味が変わる。これが戦略ストーリーである。マクドナルド復調の理由は、2時間目で見た、各要素の順列にそのヒントが隠されている。



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