福岡へ。
11月1日は祖母(母方)の誕生日。実はこの祖母、昨年末から容体が芳しくなく、今年の初めには”いつ逝くか”なんてことばかり話題に上がっていたのだが、運のいいことに最近は比較的元気がいい。しかしながら、誕生日をもう何度も迎えることはできないだろうと、その子たちが一堂に集まって誕生日会をやるとのことで、わたしは先日亡くなった母の代わりに福岡へ行くことになった。先にも書いたとおり、年初は祖母はかなり調子が悪かったので、今年の1月は毎週のように見舞いに行っていたのだが実に10か月ぶりの見舞いになった。旅程は10/30(金)の夜から11/1(日)までの強行軍。
飛行機が取れない。
転職したばかりの身でまだまだ自分のペースで仕事ができないわたしは、仕事の都合で本当に行けるかどうかが怪しかったので、ギリギリまで飛行機のチケットを取ることをためらっていた。すると、当たり前だが安い航空券(スカイマークなどのLCCやJAL/ANAの株主優待)はどんどん埋まっていき、ついにはスカイマークは全便満席。JALは少々空いているものの割引対象のシートは空いてない。
なんでこんなに混んでいるのかと考えてみると、11/2(月)を休めば3日(火・祝)とつなげて4連休にできるのだ。もちろん有益な有給の遣いかたで、いいことだ。さらには日本シリーズの後半戦はソフトバンクがホームとなるために、福岡へ移動する人が多いというのも1つの理由かもしれない。その証拠に、10/29(木)の夜にソフトバンクの優勝が決まると、飛行機のキャンセルが出始め、やっとJAL331便福岡行のチケット(株主優待割引)を取ることができた。会社の早退も決まっていたので、どうせなら本当はもうちょっと早い時間の飛行機に乗りたかったのだが空いてないんじゃ仕方ない。
モノレール激混み。
定時より少しだけ早くあがり東京国際空港第1ターミナルへと向かう。職場の青山一丁目から羽田へ向かうには、都営大江戸線大門経由でモノレールで行くのがもっとも早いとGoogle先生はおっしゃる。大門から京急のほうが早いと思っていたのだが、Google先生の意見に従うことにした。
久しぶりに浜松町(大門)に来て、4年前まで働いていたビルやら食堂を横目に見て懐かしみながらモノレール乗り場へ向かった。改札を抜けホームに上がってびっくり。人がホームからあふれてしまいそうなくらいの人・人・人。そもそもこういうところにいる人たちは、ガラガラなどを引いていて荷物も多いせいか必要以上に混んでるように思える。「一本やり過ごさないと乗れないな。飛行機間に合うかな」なんて思っていたらあっさり乗れてしまい杞憂に終わった。
わたしは飛行場で搭乗を待つ時間というのがなんとも好きではなく、電車に乗るようにギリギリに行くことが多い。というのも、空港に早くついてもすることがなく、どっか店に入ればいろいろ高い。そして大してすることもないのだ。今回は仕事を担いだままの強行軍のため、椅子があればiPhoneやiPadで調べもの&メールの打ち返しなどやることがあったけども。そんなこんなでラウンジに寄ってビールを飲みつつメールの返信をして搭乗時間を待つ。
福岡着。
叔父と博多で待ち合わせていたので、空港から博多駅へ急ぐ。いつもタクシーかレンタカーでの移動なので、福岡で地下鉄に乗るのは実は初めてで、どの方向に乗ったらいいのかわからない。しかし、福岡空港が地下鉄の一番端ということがわかって、ホームに停車している電車に乗り込む。PASMOも普通に使えるようになっているので、切符を買ったりだとかの面倒なオペレーションは一切不要。10分くらいで博多に到着。
夕飯を。
18:50羽田発の夕飯の時間帯に飛行機に乗っておりなにも食べていない状態なので、ご飯を食べに中洲方面へタクシーで移動。今回立ち寄ったお店は「ひろ家」さん。魚がおいしい和食割烹で、鯨(さえずり、うね)、あら(関東圏では”くえ”)、馬刺し、渡り蟹(ボイル)、牛テールと大根の煮込みをいただく。いずれも最高級の味で、しばらくぶりに舌鼓を打った。飲みものが東京ではありえないくらい安く、幻の焼酎「森伊蔵」が800円で飲める。ロックグラスも大ぶりなものなのでかなりお得なのではないか。お会計は2名で28,000円也。鯨とあらが価格を引き上げてるらしい。
こののち、中洲名物の屋台に移動。立ち寄ったお店は「味府」さん。もちろんお腹が空いているわけではないのだが、名物で遊ぶために立ち寄る。ここでは豚ばら串、餃子、ラーメンを食す。ここのママにけちょんけちょんにいじられながら、意外としっかり食べてしまった。本場福岡のとんこつラーメンは本当にあっさりしていておいしい。うっかりスープも全部飲み干してしまいそうなくらいするすると入ってしまう。
この屋台はあちらこちらに名刺がたくさん貼ってあったので、店主の許可を得てわたしも貼らせていただいた。
ようやく宿へ。
今回の投宿先は「ホテルモントレ ラ・スール」さん。会社を出る前になって宿のことが不安になり、楽天トラベルで検索したら偶然にも割引価格で提供されていた。なんと税込8,200円でしかもツイン。深夜にただ寝るためだけに来たのではもったいないくらい感じだ。2:00過ぎにチェックインして即寝。(実はマッサージを呼んで施術を受けながら入眠。)
祖母のもとへ。
結構な量を飲んだ割には二日酔いもなく、さわやかな目覚め。ただ寝が足りていないので眠気は残る。叔父とは9時にホテルのロビーで待ち合わせをしていたのだが全然起きてくる気配がないので、ホテル近辺を散歩。
ここは親富孝通り(旧 親不孝通り)と呼ばれるところで、予備校がたくさんあるために旧名称の由来だそうだ。飲み屋さんもたくさんあり、夜は盛り上がってること間違いなしなことは朝の雰囲気だけでも十分伝わってくる。
そういえば昨日しこたま飲んでから寝たせいか、猛烈にのどが渇いている。ホテルの部屋には水がなく、おまけに室内は乾燥し放題なので喉がカラカラ。さらにアルコール分解のために体内の水分がempty状態なのだ。熱いブラックコーヒーを飲みたいと思い、手っ取り早くコンビニを探した。セブンイレブンの100円コーヒーでスッキリしたかったのだ。
しかし、ここは福岡、セブンイレブンがほとんどない。ローソンはあちらこちらに多いのだが、ローソンでコーヒーを頼んだことがないので勝手がわからない。困ったなと思いながら「ファミリーマートでもいいや」と思いながらウロウロしているとやっとファミマを見つけた。「もうすぐサークルKサンクスと合併するんだよな」なんてどうでもいいことを思いながら近づいていくと、その先に「タリーズ天神店」を発見。すぐさま入るとモーニングの対応でずいぶんとレジ前で並ぶことになった。ここでコーヒーを飲みつつ、ホットドッグまで食べながら叔父の起床を待つことに。
さて、天神から祖母のいる直方までなにで行こうか悩んでいた。最有力はレンタカー。これは祖母がいる直方市は本当にド田舎なのでそっちに行っても車があったほうが便利だからだ。しかしコストがもっとも高い。次点は高速バス。バスで約1時間くらいでコストはたしか1,130円か1,230円だった。レンタカーの約1/10だ。悩んだ末、直方で車が必要になった場合にはもう一人の叔父の車を借りることにして高速バスで向かうことにした。
バスターミナルに向かう途中、三越の前を通ったらライオンがソフトバンクのユニフォームを着せられていた。そうだよね、前日日本シリーズ優勝が決まったもんね。おめでとう!いまのソフトバンクは強すぎてどこもかなわないそうだ。
住宅型老人ホームに入居している祖母は、個室で寝たきりになっている。いまでは嚥下することもままならず、鼻腔経管によって栄養を摂っている状態だ。そんな状態であるから、1月に会ってからどの程度痩せてしまっているかと恐る恐る部屋に入ってみると、なんてことはない、1月に会ったときとほぼ変わらない身体状態だ。むしろそのときよりも元気になっているくらい一人でしゃべっている。
一人でしゃべっているとはどういうことかというと、認知症が進行しているため、あまりこちらの状況とは関係なくいろんなことをしゃべるのだ。しゃべること自体、ものすごく体力を使うことなので、これは元気な証拠。ありがたいことだ。
お腹が空いたので、親族一同でランチでも行こうとホームを出て、さびれた古町(文字どおり本当に”古町”になってしまった)商店街を歩いていると、バナナのたたき売りをやっていた。これの発祥は北九州の門司だそうで、なんでか直方でやっていた。初めて演じているところをみたのだが、長いお囃子の末に、本当にバナナを叩き売る(オークションの逆で値段が徐々に下がってくる)やり方だった。立派な1房のバナナが600円くらいで競り落とされていた。ぼくだったら1房も買ったらもどうにも食べきれないな。
花より団子?
元気な姿を見ると安心するもので、だんだん時間を持て余し始める。せっかく直方くんだりまで久しぶりに来たので、お墓参りにも行こうと、19時過ぎから墓参り。あとにも先にもこんな時間に墓参りすることなんてないだろう。霊園はすっかり電気もすべて消え、まして田舎の霊園なもんで本当の闇。自分のiPhoneと会社から貸与しているiPhoneの2台でカメラレンズ横のフラッシュみたいなものを懐中電灯代わりに順番に墓前で手を合わせる。母の位牌も持って行けたので1つ役目を終えた気分だ。
街に戻り、こんどは夕飯の時間。シャッター商店街となっていてほとんどまともな店はやっておらず、だいたいいつも行く店は決まっている。今回も「居酒屋 笑(えみ)」さんに立ち寄った。1月に毎週のように行っていたせいか「あら!お久しぶりです!また東京から?」と女将さん。個人のお店だとこうしたちょっとしたことがコミュニケーションがうれしいものだ。
ここでは、「温泉豆腐」なるおいしい鍋をいつもいただくのだが、このネタ、1月に来たときに知ってから自宅でも何度か再現してみた。久しぶりにオリジナルを食したのだが、やっぱりおいしかった。豆腐が違うのか、自宅で再現するものとわずかになにかが違う。このあたりが料理の妙なんだろうなとそれらしいことを思いつつ、おいしい刺身と鍋と日本酒で脳がふわふわし始める。あっという間に閉店の23時になり、飲み足りない叔父たちは当たり前のように2軒目に向かう。その前にホテルにチェックイン。
毎度投宿するホテルは「ニューホープ」さん。このホテルのオーナーさんは、祖父が雇っていた従業員の弟さん(わたしからすれば他人)で、「当時はお世話になりました」と、ほぼ親戚同様によくしてくださる。1月に行ったときには昔の話をたくさんしてくれて、母の実家ではどういうことをしていたのかがとてもよく理解できた。なお、このオーナーさんは若いときは国鉄に勤めていたそうで、その時分に東京で松下幸之助から教えを受けたらしい。うらやましすぎる。
チェックインして荷が軽くなったところで2軒目のバー「ease」さんへ。ここも1月に直方へ来たときに毎晩のように来ていたので、久しぶりの再訪にマスターが喜んでくれた。酔ったわれわれは口論になることもあり、それをたしなめられるかのようにガーリックトーストをサービスしていただいた。ありがとうございます。でも、いいワインを2本も空けてるからおあいこかな。
さらにこのあと、3軒目へ。こちらも毎度立ち寄る「夜食の店」さん。閉店時間が3時なのだが、2:55に滑り込んでみたところ、「あら!久しぶりねぇ」とママさん。閉店といわれることなく気持ちよく迎えられてちゃんぽんをしっかり食べてホテルに戻って即寝。祖母の見舞いに行っているのか、飲みに行ってるのかよくわからん。
祖母の誕生日。
早くも帰らないと行けない日になってしまった。昨夜は遅くまで飲んだくれてしまったので、目が覚めたのはチェックアウト時間が過ぎた10:05(チェックアウトは10:00)。知り合いのよしみに甘えてシャワーを浴びてのんびりとチェックアウト。なんと11:00になっていた。とりあえず祖母のところに様子を見に行かないと。
お誕生日なので、商店街のお花屋さんで花束を頼む。朝から花束の注文が多かったというお店のおばちゃん、わたしの注文はいよいよめんどくさくなったか「お見舞いならプリザーブドとかどうですか?」と勧めてくる。この提案に妙にイラッとしたわたしは「いや、生花じゃないと意味ないから」と花束を作ってもらった。作るのに15分くらいかかったのだが、その間いろいろ話をさせてもらった。「お客さん直方の人…?」「いえ、昨日東京から来たんですよ。杉並に住んでます」と答えると、「やっぱりね。雰囲気が全然違うからねぇ」と。別に何をしたわけではないのだが、田舎の人間と都会の人間とでは匂いが違うのかもしれない。きっと、田舎の人のような純朴な匂いじゃなく、ビジネスに飢えたすえた邪悪な匂いが染み出ているのだろう。やだね。
ケーキも事前に叔父が予約してあったので、ピックアップして祖母の部屋について開けてびっくり。このケーキ、\6,000だったそうだが、とんでもなく駄作(笑)
まず、いちごに蔕がついているのにおどろきなのと、チョコレートの文字もすごいし、アシンメトリーだし、なんだかいろいろすごい。もう一人の叔父はめちゃくちゃ怒って「返してきなよ!バカにするのもいい加減にしろって返したほうがいいよ」と言っていたが、購入した叔父が「笑えたからいいじゃない」と、みんなで食べることにした。味はおいしかった。
ちなみに、このケーキの写真をわたしの弟に送ったのだが、返ってきた答えは「自分たちで作ったの?」だった(笑)まぁ、そんな風に見えますわな…。
いよいよ帰る時間になってしまったので、高速バスで福岡空港へ。田舎のほうは高速バスが発達しててすごいなと思う。数分おきにバスが来る。
福岡最後はやっぱりとんこつラーメンを。福岡空港には2つのラーメン屋さんがあり、申し訳ないけどどちらも大したことないのだが、東京のとんこつラーメンよりはおいしい。今回は「ラーメン屋台」さんに立ち寄る。
ラーメンを食べ終わってからもまだ搭乗には少し時間があったので、ラウンジでボーっとする。今年の1月末に、先日死んだ母といっしょにこのラウンジで缶ビールを飲み、「静かでゆっくりできていいね。喫煙所もすごくきれいだよ」なんて母が話しかけてきたことを思い出し、妙に感慨深い思いになる。さて、そろそろ搭乗しよう。
福岡空港は現在工事中で、そのせいか飛行機が沖に停泊されていて、ちょっとした距離だがバスに乗って搭乗する。雨が降っていたのでものすごく億劫だった。
さっきラーメンを食べたばかりだが、スカイマークは機内サービスがないので、念のためサンドイッチを買って持ち込む。お腹いっぱいだったけど、残しておいてもしょうがないので無理やり食べる。CAさんに赤ワイン(\300)を頼んで持ってきてもらうとおつまみのおかきもついていた。このグラス、妙に足が細くて足元が不安だ。飛行機のテーブルに置くんだからもうちょっと足元がしっかりしたものでもいいと思うのだが、見た目重視なのだろうか。
久しぶりに福岡に行ったが、やっぱりいいところだった。食べものはおいしいし、筑豊弁はなつかしいし。向こうに今と同じくらいの仕事があれば移住するのも1つの選択肢…?
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