買収防衛戦略。

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今日もMBAセミナーに参加してきました。
今日はケースを使用したディスカッションで、案件は「アルセロールの買収防衛戦略」というものだった。
アルセロールってどういう企業か、このブログを見ている方の中では聞いたことがある方は意外に少ないかもしれない。かく言う僕も聞いたことがなかった。
どのような企業かというと、ルクセンブルクにある製鉄業世界第1位(2004年)という製鉄業界の雄である。この企業が、業界大手の「ミタル・スチール」に敵対的買収を仕掛けられた。さぁ、どうする?
ってな具合のケースだった。
僕はM&Aの知識もなければ、製鉄業界のことも分からなければ、証券の受け渡し方法も知らなければ、世界的な独占禁止法すら知らない。知らないもの尽くしの中で、このようなディスカッションに参加するのはかなり無謀だったのだけど、とても勉強になった。それは、あまりにも長けた参加者たちがいたからに他ならない。
参加者の属性は以下のとおり。
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【1】Sさん:♂:アパレル系企業のお偉い
【2】Oさん:♂:SIを行い、SOX法支援やISMS取得支援などを手がけるセキュリティコンサルタント
【3】Tさん:♀:みずほ証券株式会社勤務
【4】Tさん:♂:伊藤忠商事株式会社勤務
【5】Mさん:♂:コンサルタント出身のパチンコ業社長。年商3桁億。
【6】doctor-m:♂:Webディレクターw
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こんな錚々たるメンバーの中でもまれてきました。みんな超クレバーで、はっきり言って、みんなの発言の意味を理解するのも難しいと思うのと同時に、ケースの問題点の視点などが近くてちょっとほっとしたり。
しかしホントに難しかったです。今回のケース。
参加前に与えられた課題は以下のとおり。
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【1】ミタル・スチールが世界最大の生産量を誇る企業に成長した要因について分析して下さい。
【2】新日鐵の経営者の立場でミタル・スチールのアルセロールに対する買収提案をどう思いますか?新日鐵はどうしたら良いでしょうか?
【3】ミタル・スチールの経営者の立場でアルセロールの行動(セベルスターリとの合併を含む)に対する対応策を考えて下さい。
【4】アルセロールの株式に保有する資産の大半を投資している株主の立場でアルセロールの今後の経営方針について提案して下さい。
【5】アルセロールの経営者として今後の経営戦略を策定して下さい。
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こんなのね、僕にはマジで無理ですよ。ファイナンスの知識が皆無に近いわけだから。
でも、僕も指されるので、右も左も分からないまま、適当に発言しましたよ。
ディスカッションの中で生まれた意見もご紹介。
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【1】ミタル・スチールが世界最大の生産量を誇る企業に成長した要因について分析して下さい。
・低い価格で、途上国の企業を買い占めたため。
・途上国の買い占めは、雇用の安定を見込めるので、喜ばれた
・途上国だったので人件費が安く、利益率がよく、企業の体力を蓄えやすかった

【2】新日鐵の経営者の立場でミタル・スチールのアルセロールに対する買収提案をどう思いますか?新日鐵はどうしたら良いでしょうか?
・自社が買収されるのではないかという脅威にさらされた
・技術力では優位を保っているので、安泰でもあるし、これを奪われる(買収される)のではないかという脅威
・買収防衛策の発動(ポイズンピルゴールデンパラシュート

【3】ミタル・スチールの経営者の立場でアルセロールの行動(セベルスターリとの合併を含む)に対する対応策を考えて下さい。
・技術力は欲しい
・アルセロール、新日鉄などが連合してしまうと、買い戻しにくくなってしまう
∴今のうちに買収しなければ(条件の引き上げなど)

【4】アルセロールの株式に保有する資産の大半を投資している株主の立場でアルセロールの今後の経営方針について提案して下さい。
・議決権を行使して、意味のない合併を避ける

【5】アルセロールの経営者として今後の経営戦略を策定して下さい。
・ミタル・スチールのTOBを回避し、より質の高い生産と、よりよい消費を促すために、日本や韓国などの企業と、友好的な業務提携を結ぶ
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といったような意見が出ました。
しかし、結果的にはアルセロールは、ミタル・スチールの提案条件を飲んで、2006年6月末の緊急取締役会で、合併を決議したのでした…。
こんなディスカッション、なかなか経験することがないのでとても勉強になりました。
一緒に参加した皆さま、お疲れさまでした&ありがとうございました。