『びんぼう自慢』。

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2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震のおかげで、すっかり本なんか読む気がなくなっていた。しかしそろそろ読書も再開しようかと思った矢先、一橋MBA教授であり、2010年ビジネス書のベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』の著者でもある楠木建教授が推薦していたのが、この本である。
これまでは、落語のことなんかこれっぽっちも興味なんかなかったのだが、その先生がおすすめしているとあり、さらには地震で暗い気持ちにあるもんで、早速amazonで購入して読んでみた。
5代目古今亭志ん生の自伝なのだが、おもしろいのおもしろくないのって、本当におもしろい。こんなにでたらめな人間がいるのかというくらいとんでもないお方である。詳しくは本書を手に取っていただきたい。
文中、印象に残ったものがあったので、以下に記す。

はなし家が、高座のあと余興でやる芸を、あたしたちのほうは「飛び道具」てえんですが、こういう人たち(ラッパの円太郎、ステテコの円遊、ヘラヘラの万橘)は、その飛び道具の方ですっかり売れて、そっちの方で名前が残っちまったんです。
つまり、なんですよ、努力とか工夫てえものは、別に落語の世界に限ったことじゃァない。どこの会社だって、どんな商売だって同じだろうと、あたしゃァ思いますねえ。(P.220)